男女関係を力学的に捉えてみる

「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」と言われている。

つまり、天が人を生み出すに当っては、人はみな同じ権利を持ち、生まれによる身分の上下はなく、万物の霊長たる人としての身体と心を働かせて、この世界のいろいろなものを利用し、衣食住の必要を満たし、自由自在に、また互いに人の邪魔をしないで、それぞれが安楽にこの世をすごしていけるようにしてくれているということだ。(現代語訳 学問のすすめ)

しかし、この世界を見渡してみると、美しい人も醜い人もいる。貧しい人も、金持ちな人もいる。そして女性は、美しい男性、金持ちな男性に惹かれてしまうものである。男性についても、美しい女性、若い女性に惹かれてしまうものである。

そうした男性と女性の間に、互いに惹かれ、惹き合う力が生まれる。それは引力のように、自らが意図せずとも周囲にも自らにも影響を及ぼしてしまう力である。そうした力を我々は魅力と呼んでいる。

その魅力という力を礎に、魅力的な男性と女性を輪の中心としながら、次々と男性と女性とが惹き寄せられ踊る。それはまるで太陽を中心とした、惑星、小惑星の回転運動かのように。その意味でも、魅力的な女性は太陽と言えるのかもしれない。

 

そうした魅力という力が生む結果として、美しく金持ちな男性と美しく若い女性を中心とした関係が生じるわけである。関係とは、恋愛関係であり夫婦関係であり、肉体関係である。魅力の劣った人は、太陽系の中心へと近づけず、中心を眺めるかのように大きな円を描き、また他の人とも容易には関係を築くことができない。

また、関係は距離として表すこともできる。物と物、人と人との関係の強さは、一つの距離の大きさとして表すことができる。親しい関係であれば距離は小さく、そうでなければ距離は大きい。つまり距離とは、ある関係について見たときの人と人との近さと遠さを定めるものである。その意味で距離は、人が至るところに点在する空間への見方、男性ら女性らが存在する世界への見方の一つ、世界観を表しているとは言えないか。

 

ところでインターネット上には、無数のアダルトサイトがある。とりわけ男性であれば、疑いなく誰もが幾度と無くお世話になっており、アダルトサイト無しの生活など考えられないという人も多いだろう。隠すまでもなく、私もその一人である。

そうしたアダルトサイトであるが、近年の女優の美しさには眼を見張るものがある。現実の世界であれば、到底近づくことさえも出来ないであろう女性のあられもない姿を拝めるわけである。

ここに私は、男性と女性との関係として、恋愛関係でも夫婦関係でも肉体関係でもない、新たな関係を目撃している。魅力を根底とした従来の力学系では近づくことさえも出来なかった男性と女性とが、インターネットのアダルトサイトによって近づくことが可能となる。この新たな関係、新たな距離の目撃はまさに、新たな力学系としての世界観を享受したことに他ならない。そう言えやしないか。

 

本当は「エロブラウザのすすめ」というタイトルでその内容を書こうとしていたのだが、思いもよらぬ方向に思考が進み、本題に入る前に力尽きてしまった。

 

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)

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文庫 人間の性はなぜ奇妙に進化したのか (草思社文庫)

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